CVV NEWS・LETTER 第1号
みんなの手紙 |
みなさまお元気ですか?春になりましたね。
私も大学3年生になり、自分で驚いています。
みなさんも環境が変わられたりしてお忙しいのではないでしょうか。
さて、今年の夏はいよいよCVVとPARCの交流事業が行われます。
昨年はSARSの影響により残念ながら延期となりました。
でも、私は新しい気持ちで今回の交流事業に参加したいと思っています。
みんなの想いがたくさんつまった交流事業になるよう
一緒に頑張っていきましょう!!
(CVV代表 中村 みどり)
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第1号 目次 ・ 「交流事業への期待」 家常 惠 … p2 ・ 2004年 CVV・PARC交流事業 プログラム … p3 ・ これまでの活動報告 … p4 ・ CVV夏キャンプのご報告 … p5 ・ 2003年度事業会計決算報告 … p6 ・ 2004年度事業会計予算書 … p7 ・ コラム〜自立支援について思うこと 鳫野 洋 … p8 |
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「交流事業への期待」 カナダとの交流は、1997年に関西の児童福祉関係者らが研修でカナダ・オンタリオ州トロントにわたり、ペイプ青少年資源センター(Pape Adolescent
Resource Centre:略称PARC=パーク)や、子どもの権利擁護機関・アドヴォカシー事務所を訪問したことに始まります。その後、1999年にPARCのネットワーク・グループ及びアドヴォカシー事務所のメンバーを招聘し、さらに翌2000年の夏には、日本の児童養護施設で暮らした、あるいは暮らしてい |
CVV・PARC交流委員会 委員長 家常 惠 (徳山大学教授) |
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る子どもたちがカナダを訪れました。これに参加した子どもたちはPARCの多くの若者との出会いから大きな刺激を受け、Children's Views
& Voices(略称 CVV)を結成しました。CVVは、自分たちの思いを安心して語り合える居場所を創り出し、そしてそれぞれの中で機が熟せばその思いを社会にも語りかけることを目ざしています。 CVVは、児童養護施設で暮らしていた若者たちによって構成されており、当事者が主体となって活動するという、日本の児童福祉においては希有なグループです。福祉サービスにおいて当事者の声が極めて大切であることは言うまでもなく、今後日本で当事者による主体的な活動が発展することに大きな期待を抱いています。 また、日本のシステムでは、子どもたちが児童養護施設で暮らしている間についてのみ、決められたケアしかなされていません。しかし、子どもたちが施設を出てから自立してやっていくためには、退所してからも支援が必要であることは言うまでもありません。その意味で、児童養護施設で暮らしていた子どもたちの活動であるCVVという場は、今後もっと大きく発展すべきであり、私たち社会全体で支える必要があります。 今回のPARCのユースとスタッフの招聘が、これまでの日本とカナダの精神的な結びつきをさらに深めるとともに、CVVの活動の発展に大きく寄与することを強く期待しています。皆様の暖かいご支援をよろしくお願い申し上げます。 |
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カナダ・トロント市のPARCとの交流事業をきっかけにつくられた子どもと若者の当事者グループのことです。児童養護施設にいる子どもたち(Children)の視点からものを見て(Views)、施設での生活をよりよいものにするために発言(Voices)していくという意味で、CVVと名づけられました。そこでは、子どもたちが施設で生活して何か困っていることや不安なこと、疑問に思うことを、スタッフや施設で生活した経験のあるメンバーが話を聞き、当事者が主体となって一緒に考えていきます。そしてその声を反映し、施設での生活をよりよいものにすることを目ざしています。 |
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CVV・PARC交流事業 プログラム
月日 |
プログラム(午前) |
プログラム(午後) |
プログラム(夜) |
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8/22(日) |
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到着 |
歓迎会 |
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8/23(月) |
各滞在施設で過ごす |
キャンプ
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キャンプファイヤー |
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8/24(火) |
キャンプ |
各滞在施設で過ごす |
非行についての研修会 |
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8/25(水) |
修徳学院を訪問 |
大阪府中央子ども家庭センター・一時保護所にて見学及び研修会 |
CVV・PARC 打合せ |
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8/26(木) |
カンファレンス (大集会) |
カンファレンス (分科会) |
フリータイム |
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(Irwin大学での講演) |
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8/27(金) |
CVV・PARC意見交換会、サポーター意見交換会 |
同左 |
フリータイム |
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8/28(土) |
フリータイム |
シンポジウム PARCユーススピークアウト、パネルディスカッション |
フリータイム |
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8/29(日) |
京都観光 |
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8/30(月) |
フリータイム |
京都プログラム (セクシャルヘルスのワークショップ) |
送別会 (17:30〜) |
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8/31 (火) |
帰国 |
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*今後、PARC側との打合せにより変更される可能性があります。
《CVV・PARC 交流委員会(CPEC)とは〜》 CPECは、PARCのユース(若者)とスタッフ(専門援助職員)を日本に招き、CVVのメンバーをはじめ日本の児童養護施設で暮らしている、あるいは暮らしていた子どもたちとの交流、シンポジウムや学習会等の開催を目的として、2002年11月にCVVのメンバーとその趣旨に賛同する人たちが共同して結成したものです。 PARCは、カナダ・トロント市のChildren's Aid
Society と Catholic
Children's Aid Society の支援のもとにある若者を対象として、彼らの自立をサポートするために用意された機関です。PARCのユースの大半は、In Care の状態にあるか Extended Care を受けている若者たちで、PARCは彼らが十分に自立したと思えるようになるまでサービスを提供していく姿勢をとっています。 |
これまでのCVV活動報告
年月日 |
活 動 場 所 |
活 動 内 容 |
2000年 8月21日 |
梅田 第一ホテル |
帰国後、カナダで体験したことについてメンバーが感想を報告 |
9月 9日 |
梅田周辺 |
帰国後、初のミーティング |
11月26日 |
施設 |
Child Voice & View (CVV)に名前が決まり、紹介文を作成 |
2001年 3月 2日 |
大阪府中央子ども家庭センター |
中央子ども家庭センターにて実務者研修 |
6月30日 |
大阪府社会福祉会館 |
許斐先生の遺志を継ぐ会にてカナダの報告 |
9月 9日 |
ホテルフジタ奈良 |
近弁連子どもの権利委員会夏期研修会にて講演 |
11月30日 |
大阪府東大阪子ども家庭センター |
河内会の施設が中心となった研究会にて自立支援と権利擁護についてメンバーより話をする |
12月15日 |
神戸国際会議場 |
JaSPCAN兵庫大会市民フォーラム・ワークショップに参加 |
2002年 3月10日 |
梅田周辺 |
共同募金会の申請 |
4月21日 |
梅田周辺 |
カナダよりCVVと交流したいとの申し出あり |
11月17日 |
第一ホテル |
CVV・PARC交流委員会(CPEC)発足 |
11月29日 |
京都ウェスティン都ホテル |
近弁連大会シンポジウム |
2003年 1月17日 |
クレオ大阪中央 |
六合会研修 |
2月10日 |
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Children's Views & Voices に名称を変更 |
6月14日 |
大阪社会福祉指導センター |
第7回 CPEC会議 |
7月
4日 |
大阪社会福祉指導センター |
『権利ノート』研修会で講演 |
8月25日 〜26日 |
大阪府立青少年海洋センター |
CVVが主催となって大阪府下の児童養護施設5施設の高校生とキャンプを実施 |
10月13日 |
総合生涯学習センター |
キャンプに参加した高校生と同窓会を開く。 |
10月25日 |
大阪国際交流センター |
シンポジウム「いま、子どもの自立支援を考える」 |
2004年 1月24日 |
桜ボウル |
高校生交流会(ボウリング) |
3月21日 |
大阪城公園 / プロント(レストラン) |
高校生交流会(卒業・進級を祝う会) |
CVV夏キャンプのご報告
2003年8月25日〜26日の1泊2日、大阪府立青少年海洋センター(大阪府泉南郡岬町淡輪)において、CVV夏キャンプを実施しましたのでご報告致します。
当日は、高校生は、10名(5施設)、スタッフは、児童指導員、児童福祉司、ユースワーカー、弁護士、学生など15名が参加しました。
1日目(8月25日)は、午後1時に全員が時間通りに集合し、午後3時に現地(大阪府立青少年海洋センター)で開会式を行い、手始めに、なんでもバスケットや互いのキャンプネーム(キャンプ中の呼び名)を覚えるゲームを実施しました。名前を教えあう過程で自然と助け合う雰囲気ができていく中で、2班に分かれて夕食のカレーライスをみんなで協力して作りました。薪割り、火おこしなどスタッフ顔負けの子どもたちの手馴れた動きに驚かされました。夜には、ゲームをしながら子どもたちがいきいきと将来の夢や暮らしについて話をしたり、花火をして、みんなすっかり打ち解けた様子で、その日は終わりました。
2日目(8月26日)は、午前中は、砂浜にネットを張ってのビーチバレー、キャッチボール、貝殻拾い、砂浜のテント内で休憩するなど、子どもたちが思い思いに過ごした後、みんなですいか割をしました。午後は、各班で互いにメッセージを書き合い、修了証を作成しました。子どもたちは、自然と、仲良くなった他の班の子や、スタッフにまでメッセージを書き始め、暖かい雰囲気と一体感が生まれる中で、無事キャンプを終えることができました。
2日目の最後に子どもたちが書いてくれた感想文からは、「いつもすぐに友達のできない私が、このキャンプではすぐみんなと友達になれた。すいか割、ビーチバレー、その他もろもろ一つ一つがとても楽しく出来た。」「みんなと話が出来てプログラムも楽しかった。」といった、仲良くなれた、楽しかった、という声がたくさん聞かれ、併せて、「また来たいな。」「またみんなに会えることを信じています。」「来年も行きたいなーと思います。」「また機会があったら、呼んでください。」といった、キャンプで出来た友達とまた会いたい、来年もキャンプに参加したい、という嬉しい声がたくさん聞かれました。参加のご協力を下さった施設からも、「子どもたちが帰ってくるなり、『楽しかった。来年も参加していい?』と聞かれた。」との声がありました。
この度、ご協力を下さったみなさまには、この場をお借りして、格別の感謝の気持ちをお伝えするとともに、今後も、皆様のますますのご理解ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
夏キャンプ実行チーム
キャンプ長 昇 慶 一(弁護士)
*コラム 〜自立支援について思うこと
僕は小さい頃から人間関係を作るのが苦手であった。周りを見渡してもそういう人は多いが、現在26歳になっていることを考えると少々度を越しているように思う。 原因は小学校で不登校だったからではないかと思う。6歳から12歳の間の僕は万引きをしていたこと、朝から外で1人遊んでいたこと、ベランダに布団を持ち出してひとりで空を見ていたこと、そんなことが思いだせる。 僕は施設で3年間生活していたが、家庭に帰ったときに初めてぶつかったのは言葉の壁だった。何をしたらいいのか、どうすれば友達ができるのかが高校、大学時代を通しての課題であった。高校生の頃、プリントが配られてきたときに後ろの生徒が何気に話しかけてくれてくれ、いつの間にか友達になった。大学は自分から動かなければ何も起きないところだったので、結局友だちと呼べる人はいず、ひたすら本を読んで4年間を終えた。だから今いる友達は高校時代からのものである。正直に言えば大学生活はみんなから孤立し、英語を話す国にいったような感じで孤独感にさいなまれていた。社会に出るということはまさに人間関係の中に飛び込むことであり、それができないとすぐに首を切られかねない。ま、それが現在の僕の状態である。 不思議に思うのは同じ境遇で施設を出て結婚し、家庭を持っている人がいることである。彼らとの違いは、人間関係の中にうまく飛び込めたかどうかではないかと思う。人とうまくコミュニケーションをとれず、普通にしゃべれて普通に遊べるなんてことができない。僕に子どもでもできることを考えると苦痛になってくる…。ま、次第にこんな状態が続いて財布は空っぽになり、頼る人もなく陸の孤島に取り残されてしまった。 こんなとき、せめてどうすれば人らしくなれるか教えてくれる人がいれば、なんて思ってしまう。仕事を提供してくれ、住む部屋をポケットから出してくれる。少々自分勝手であるがこれが本音であることは否めない。施設を出てしまうと今までのように助けてくれるところはない。だから僕のような人間は行き場を無くしてしまう。ま、野となれ、山となれ状態で社会からおっぽり出された気分だ。もちろん児童相談所のケース・ワーカーや施設の職員が大変なことは僕なりにわかっているつもりだ。でも僕のような人間が実際に社会にでているのも事実である。そんな時、この混沌とした社会で何ができるのか、どのような制度なら可能なのかということをふと考えてしまうのだ。そのような当事者のふとしたことから自立支援について考えてみることも必要ではないだろうか。 (CVV 鳫野
洋) |
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CVV NEWS・LETTER【みんなの手紙】 通巻第1号 発行者:CVV & CPEC 連絡先:〒599-8531 大阪府堺市学園町1番1号 大阪府立大学社会福祉学部 望月彰研究室(事務局) FAX(072)254-9785 E-mail:
yes_cvv@yahoo.co.jp 発行日2004年4月12日 イラスト:中村 みどり 編集者:中村 みどり 上村 宏樹 |
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